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abitare -都会的な感性を持つ「立体長屋」-

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道路側(北側)のファサード
  
建設地 東京都世田谷区
用途 オーナー邸(二世帯住宅)+集合住宅10戸
家族構成 親世帯:ご夫婦、子世帯:ご夫婦+子供2人
構造/階数 鉄筋コンクリート造5階建
敷地面積 約525m2 (159坪)
用途地域 第一種中高層住居専用地域、第一種低層住居専用地域
建蔽率/容積率 60%/200%、50%/100%
建築面積 約291m2 (88坪)
延床面積 約1127m2 (341坪)※容積緩和部分を含む
設備 電気、給排水、ガス、空調、床暖房、TV、電話、インターホン
設計・監理

STUDIO AS  浦 晶子

植本計画デザイン   植本俊介

CIRCUS     宮本泰成

構造設計 SIGLO建築構造事務所
山口吉紀
設備設計 ZO設計室
柿沼整三
施工

矢作建設工業

森本泰崇・長束 聡

竣工 2001年6月
 

 建物の内部にヴォイドを挿入した都会的な感性を持つ「立体長屋」。賃貸マンションとオーナー邸からなる建物です。

 

 計画地は世田谷区用賀近辺の駒沢通りに面した場所にあります。周囲ははもともとは戸建住宅地でしたが、道路の拡幅に伴って徐々にマンション化が進行する地域です。

 

 既存の木造家屋を建て替え、下を賃貸マンションとし、自らは上に住むという典型的な自己所有型の建替プロジェクトとして構想されました。

 
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西側テラスの見上げ
 
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空を切り取る「ヴォイド」。上はオーナー邸
 

◆生活風景としての“ヴォイド”

 
 内部を立体的に貫く3本のヴォイド(屋外の吹抜)がこの建物の特徴です。
 
 敷地はウナギの寝床のように細長い形状をしているので、普通に建てると真ん中の住戸は狭い間口からしか光が入りません。そこで、建物内に3本のヴォイドを挿入し、賃貸部分とオーナー邸という全く性格の異なる空間の整合性を図ることにしました。
 

 1〜3階の賃貸部分においてはヴォイドは各住戸に柔らかい光を導いています。ヴォイドを囲むように部屋やテラスが配置され、あたかも自分の部屋の延長のように感じられます。

 

 4、5階のオーナー邸部分においては、ヴォイドが間に挟まることにより、単純に何もない場合に比べて視覚的な広がりが生まれています。

 
強い光の時はシャープな表情、弱い光の時は柔らかな表情といったように、光の入り方によってこのヴォイドは様々な表情を見せています。夜になると、自分の家や上下の家の光がほのかに壁を照らします。一方が壁となっているので、平面的にはプライバシーは守られていますが、上下方向は覗こうと思えば覗くことは可能です。
 
 プライバシーを守り視線を遮断するよりも、ここでは、人が互いに住む気配が間接的に上下に伝わる感覚を優先させています。ヴォイドにより、都会特有の距離感を保ちつつ、共に生活しているという安心感が生まれているのです。
 
 ちなみに“abitare”とはイタリア語で「住む」ことを意味し、オーナー自らのネーミングによるものです。
 
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シンボルツリーのあるアプローチ 奥まったところにあるエントランス
   
◆オーナー邸
 
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屋上ガーデンに面したリビングダイニング。街並と一体となった景色。
 
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リビングからヴォイドとダイニングを見る。
 
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玄関からホールを見る。正面に富士山が見える。
 
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らせん階段と夕暮れの街
 

陸に浮かぶ船上の住まい

 
 この建物はあたかも陸に浮かぶ船を思わせます。屋上ガーデンは甲板(デッキ)、リビングはラウンジ、ホールの吹抜は艦橋、賃貸の住戸は客室といったところでしょうか。プールがないかわりに露天風呂感覚の浴室があります。
 
 デッキからの眺望は抜群で大海原さながら周辺の街が一望です。しかし、重要なのは単に遠景だけでなくヴォイドを挟んだ内側の風景と借景となる外の風景が渾然と溶け合って一体となっている点です。近景が生かされなければ遠景は生きないし、遠景が生かされなければ近景は生きません。ここが単に眺望の良いだけの住まいと異なるところです。
 

 オーナー邸は4階が御両親、5階が子夫婦の2世代の住宅となっています。ホールの吹抜とらせん階段により上下のつながりが演出されています。5階にも玄関が用意されており、5階だけで単独の機能も果たせるようになっています。

 

 
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玄関を振り返る。 キッチンからダイニング、庭へのつながり
 
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視線の抜けを意識した洗面スペース 露天風呂感覚のバスルーム
 
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屋上ガーデンと背後の街並み 屋上ガーデンからリビングを見る。
  
◆賃貸マンション
 
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テラス付きのワンルーム感覚の住戸
 
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部屋からテラスへとつながるコンクリート打放しの壁
 
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ヴォイドと一体になったロフト感覚のワンルーム
 
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視線が抜けるキッチン(道路側の住戸)
 
 

ヴォイドと一体となったロフト感覚のワンルーム

 
 日本の集合住宅やマンションは、間仕切りだらけのせせこましい間取りに加え、狭いスペースにいろんな要素が詰め込まれているのが特徴です。しかも、あきれるくらいに同じパターンばかりです。不動産のチラシをめくれどもめくれども同じ間取りしか出てこない状況は悲惨というより他はありません。今回の賃貸住宅はこのような状況とは一線を画するべく構想されました。
 
 既存の間取りを変えるべくいろんな試みがされていますが、これほど大胆に全体をワンルームとしたものは少ないでしょう。しかも、2.4m(1階は2.7m)もの天井高を確保した上で、梁型を出さずに全て上までの開口としているので、マンションというよりもロフトの感覚に近くなっています。
 

 もちろん、壁が少ないということは使い勝手的にはディメリットもあります。しかし、大事なのは様々なライフスタイルにあったオプションを提供することだと思います。万人に気に入られようとして誰にとっても満足できないものを提供するのではなく、ディメリットも承知の上でこのような空間を気に入ってくれる人に住んでもらいたいと考えています。

 

◆全開放可能な間仕切り

 ワンルームではあっても、寝室などの利用を想定し、引戸によって一部が仕切れるようなっています。開けたときは全開放となります。

 

キッチンが中心

 現代のライフスタイルにおいては、食べることが生活の中心にあります。にもかかわらず通常、食事をするスペースは隅に追いやられています。ダイニングテーブルではなく、わざわざ部屋の真ん中で食事をしていることも多いことから、「食」が生活の中心となるようキッチンを真ん中に配置しました。
 
雨に濡れないテラス
 ヴォイドに面して、雨に濡れないテラスを設けています。洗濯物を干すなどの日常的利用だけでなく、オープンエアのパーティーも可能です。
 
外気に面するバスルーム
 ワンルームとすることで、間口が狭いにもかかわらず外気に面する明るく気持ちの良いバスルームが実現しました。
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賃貸部分の玄関 一部は個室として仕切れるようにもなっている。
 
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個室からヴォイド越しにテラスを見る。 テラスからヴォイド、個室を見る。(左の逆)
 
 
 
 
 
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