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世田谷HN邸 -建物を貫く光のクレバスの家-

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コンクリートを焼杉でくるんだ外観。コンクリートの上に乗った黒い岩のイメージ。
  
建設地 東京都世田谷区
家族構成 ご夫婦+子供1人
構造/階数 鉄筋コンクリート造地下1階地上3階建
敷地面積 約81m2 ( 25坪)
用途地域 第一種中高層住居専用地域
建蔽率/容積率 70%(角地緩和を含む)/200%
建築面積 約56m2 (17坪)
延床面積 約203m2 (62坪)
設備 電気、給排水、空調、床暖房、TV、電話、インターホン(オール電化)
設計・監理 植本計画デザイン
植本俊介・後藤智揮
構造設計 平岡建築構造研究所
平岡伸逸・吉岡真一
設備設計 ZO設計室
柿沼整三・堀 静香
施工

山菱工務店

今井和也・大塚和宏

竣工 2010年3月
本体工事費 約6300万円(102万円/坪)
 

 この建物の最大の見せ場はなんといっても、3階から地下まで建物の内部を貫く“光のクレバス”です。クレバスというのは、氷河や雪渓の“裂け目”のこと。上は細く下に向かって末広がりになっていて、西面は垂直、東面の壁はわずかに傾きながら地下まで達しています。屋根から地下の床までは11.5mもの深さがあります。「3階のガラス越しに見下ろすと、住宅のスケールを超えた圧倒的なボリュームです。地下から見上げると、細長い空がいっそう高く感じられます。ここから差し込む光は、日時計のように時間ごと季節ごとに様々な違った表情を見せることでしょう。」(カワバタデザインオフィス川畑氏

 
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ライトアップされた縦格子の木のルーバー。ルーバー材はセランガンバツ
 
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カーポートの軒天に投影されたルーバーの影。壁はコンクリート杉板型枠打放し
 
 クライアントのHさんのご職業は写真家。職業柄、光、造形、テクスチャーにはものすごくこだわりがあります。光に関しては、南向きの明るい光より柔らかく制御された光によって満たされる空間を希望され、造形に関しては、垂直水平の箱のような空間より、ナナメの線を生かした変形の空間を望まれ、北向きの変形敷地をわざわざ探して来られるという徹底ぶりでした。テクスチャーに関しては木とコンクリートを上手に組み合わせて欲しいというのがご要望でした。
 
 それらを実現するための面白い仕掛けとして思いついたのが、このスリット状の“裂け目”です。外観からはまさかこんなものが内包されていようとは想像がつかないと思いますが、もちろん単に意外性を狙ったものではありません。上が細く下が大きく広がっていること。南北軸に沿っているという2つの要因が、時間と空間という2つの位相にドラマティックな変化をもたらします。
 

 スリットに注ぐ光は、上に行けば行くほど、細くて強いシャープな光になり、下に行けば行くほど、柔らかで広がりのあるマットな光に変化します。しかも、その光の状態が時間、天候、季節に応じて刻々と変化します。特に、南中時には光が深く射し込み、夏は地底深くまで直射日光が届きます。

 

 光演出装置としての“光のクレバス”がこの建物の骨であるとすれば、周囲の空間はいわば肉付きであり臓器です。個々の空間は緩やかに連続しつつも、用途や場所の特性に応じて切り替わってゆき、各部屋からクレバスに対しての接続の仕方や開口の考え方も場所ごとに大きく変えています。

 
 現代建築はわかりやすさを優先するため、枝葉をばっさり切り落としすぐに骨だけにしてしまいます。それゆえ、一元的なわかりやすさはありますが、豊かさには欠けるのです。この建物では、空間の各パーツには自立性を持たせつつも、他の部分にゆるやかに関連づけています。緑はなくとも、光のクレバスを骨として建物全体を生命体のアナロジーとして考えることで、豊かな空間を獲得しようとしています。
 
(※)印以外 撮影:傍島利浩
  
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ルーバーの向こう側に光のクレバスとガレージがある。
 
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建物の中心を貫く“光のクレバス”最下部では地窓が大きく口を開けている。
 
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地下の寝室。地窓からほのかな光が射し込む。 寝室から趣味室へとつながる地窓。床材はアッシュ。
 
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“魚の目”を通して、趣味室を見る。 地下のどん詰まりにある趣味室。外界から隔絶された静寂な空間
   
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地階ホールから洗面・バスルーム、光のクレバス、寝室(右)を見る。
 
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コンクリートに囲まれた洗面・バスルーム。洗面カウンターはバスタブと連続。
 
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バスルームの壁はロボットの顔をイメージ(*) ステージ状になった地階→1階の階段
 
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地階から上がったところにある玄関ホール。陰影、素材、角度のコントラスト
 
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玄関からホール、階段を見る。右はエレベーター(*) 2階ホールと3階へ上がる直階段。床材はオーク。
 
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地階から2階に至る二重の廻り階段(*) 2階のホールと階段。コンクリートに穿たれた窓と変型空間。
 
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2階ホールから個室、光のクレバス、書斎(右)を見る。
 
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書斎の机と本棚。ナナメに傾いた通路と平行四辺形のドア。 光のクレバスに面した窓と三角の撮影台
 
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3階へ上がる直階段。木の段板を片側はスチール、片側はコンクリートで支えている。
 
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光のクレバスとトップライト(手前)により切り取られた空 光のクレバスを挟んでRC壁の奥にキッチンがある。
 
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最上階のリビング。斜線制限を逆手に取った折れ曲がった屋根。床材はマホガニー
 
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キャビネットに仕込まれた照明とUFOのようなペンダントライトが醸し出す浮遊感
 
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逆側から見る。収納の奥にエレベーターとトイレが隠されている。
 
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コの字型にレイアウトされたキッチン。電子レンジ、炊飯器もビルトイン。 3階トイレと手洗い
 
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ライトアップされた光のクレバスを見下ろす。屋根から地下の床までの深さは11.5m
 
  
 
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