Home > 施工事例戸建住宅(50音順)江東区TK邸

江東区TK邸 -前庭と奥庭のあるコートハウス-

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通りに面するのはルーバーだけ。寡黙なファサード
  
建設地 東京都江東区
家族構成 ご夫婦
構造/階数 鉄骨造2階建+塔屋
敷地面積 約114m2(35坪)
用途地域 商業地域
建蔽率/容積率 60%/200%
建築面積 約92m2(28坪)
延床面積 約168m2(51坪)
設備 電気、給排水、ガス、空調、床暖房、TV、電話、インターホン
設計・監理 植本計画デザイン
植本俊介
構造設計

SIGLO建築構造事務所

山口吉紀・堀内綾乃

設備設計 五十嵐設備設計
五十嵐隆一
設計協力

関裕之建築設計事務所

関 裕之

施工

赤羽建設

竣工 2003年9月
 

 下町にある間口6m、奥行19mの細長い土地。その土地に「老夫婦のための介護用住宅を作って欲しい」というのが、クライアントからの御要望でした。

 

 介護用の住宅なので、中はワンルームのようにひとつながりとし、入口も廊下も水回りも、車椅子が転回できるスペースを確保する必要がありました。土地は都市部では狭いとは言えませんが、必要なスペースを積み上げていったら、敷地の8割が建物ということになってしまいました。ビルに囲まれた敷地で建蔽率8割の建物の1階を主に使うというのはかなりの難題です。光を導き入れることが難しいからです。

 
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リビングとつながる前庭。できるだけ奥まで光を導き入れるよう吹抜とした。
 
 
 中央に中庭を取ると内部が分断されてしまうので、建物の前面と奥側に2つの坪庭を確保し、中央は階段室を利用して光を導き入れることにしました。
 

◆気配を感じる「バリアフリーハウス」

 

 この住宅は「バリアフリー住宅」ですが、床は完全フラットではありません。玄関には3cm程度、フローリングとテラスの間にも若干の段差を設けています。

 

 介護を要する方はすでに自力で車椅子を漕ぐことはできないので、健常者が車椅子を押すのであれば若干の段差はさして苦にならず、フラットにすることで生じる問題を考えると、むしろ最小の段差で処理した方が良いと判断しました。“段差なし”にすると、グレーチング(排水のための溝)が必要だったり、防音や防水の面では難しさもあります。

 
 家は障害のある人だけが暮らすわけではありません。「バリアフリー=段差をなくす」のような硬直的な思考に陥るのではなく、障害の程度や部位によって、何をどうすべきかというのもその都度考える必要があると思います。本来、バリアフリー住宅もなんら特殊なものではなく、一般の住宅の延長線上にあるはずです。
 
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ルーバー状の門扉を開けると玄関が現れる。 門扉を入るとすぐ左に前庭がある。陰影を作り出すルーバー
 
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玄関からリビングへと通ずるスロープの見返し ルーバーは視線は遮り光は通す
 
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キッチンからリビング・前庭を見る。左側の収納家具の裏が玄関へつながるスロープとなっている。
 
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リビングからキッチン。キッチンの上はタタミ部屋 中央部分に設けられた階段室。上部から光が導かれる。
  
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やわらかな光で満たされた奥庭。寝室(左)、浴室とつながっている。
 
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介護のことを考え洗面と浴室は一体化
 
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ルーバーに囲まれた前庭
 

 「最小の段差」は外部や水回りだけで、それ以外の部分は全てフラットにしています。玄関からリビングへもスロープを通ってアプローチ。段差の問題もさることながら、むしろ重要なのは動線や視線のデザインです。この家では介護のことを第一に考え、寝室と水回り、トイレができるだけ近接するようにしました。リビング・キッチンからも廊下によって直線的に結ばれています。玄関とリビングの間は横の収納の上をオープンにして、視線を遮りつつも光や気配は繋がるようになっています。

 

 リビングを吹抜としたのは、もちろん下の様子がわかるようにするためですが、お互いの気配がわかるようにするというのは、介護用住宅では特に大事なポイントです。いつ何時何が起こるか予想がつかないからです。

 

◆機能主義一辺倒ではない「ユニバーサルなデザイン」

 

 白い壁、白い天井、明るい床。吹抜のあるLDK。天井までの大きな開口。この家のデザインは、ある意味ではモダンハウスの王道を行っているかもしれません。

  
 白い壁というと、すぐさま病院がイメージされますが、目指したのはもちろん病院のような機能一辺倒の空間ではなく、陰影のある空間です。使いやすく、居心地が良くて、美しい空間ならば、テイストの問題を超えてある程度普遍的に受け入れられるものなのです。
 
 私は、生活雑器のような日常のあたりまえの道具としての建築を追求したいと考えています。ルーバーは、光を入れつつ視線を遮るため。白く塗っているのは、光が反射して奥まで光が回るように考えてのこと。“表現”に意味を後付けするのではなく、“意味”を表現に昇華させる。それがデザインだと思うのです。
   
 
 
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