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住宅のデザイン&技術

性能・保証・耐久性

長寿命の建物とは?

 一時、200年住宅という言葉がはやりましたが、最近はすっかり聞かれなくなりました。現在の仕様では200年も持たないだろうということを暗に認めたからです。現在使われている一般的な材料や構法では100年持たせるのも難しいと言えます。表面の材料は取替がききますが、下地に使われている合板や金物類、あるいは隠蔽されている設備配管などがそこまでの耐久性を考えていないからです。

  

 長寿命の家を作る条件は実は明確です。

1)長持ちする材料を使い、長持ちする環境に置く

2)耐震性などの基本性能を満足する
3)メインテナンスがしやすいような工夫

4)実際に、適切なメインテナンスが施されること
5)機能的に古くならない工夫、更新のことが考えられている
6)建物が愛着のある存在であること

 
 1)〜3)は当たり前の話です。ただし、いつでも実現出来る話でもなく、コストや敷地条件や使い勝手などと矛盾する点も出て来ます。そこら辺のバランスをどう考えるかです。4)は建て主さんの問題ですが、これをやるやらないで全く変わってきます。5)、6)は意外と見落とされる点です。建物が建て替えられる要因は、性能的に使えないというよりも、機能的に使えない、あるいは、残す価値がない場合の方が多いのです。
 
 私の事務所では、単に性能的な長寿命だけでなく、使い勝手や愛着といった点も含めての「長寿命」を目指しています。
 
 

100年住宅を目指して

 物理的な耐久性については、部分部分で耐用年数は異なります。部分部分が耐用年数を迎えたときにいかに適切なメインテナンスをするかで全体の耐用年数も大きく変わってきます。

  
 大雑把に言って、構造体は木造の場合で40~50年、RCだと60年~、配管設備が30~40年、防水、屋根、外壁、サッシュなどが20年~30年、シールや塗装は5~15年、設備機器は10年といったところが目安となります。もちろん、それは適切に施工されていることが条件です。ダメになる前に適切なメインテナンスを施せば、もっと長持ちさせることは出来ますし、逆にメインテナンスが悪ければ耐用年数も短くなってしまいます。例えば、屋根がダメになっているのになんの処置もせず、雨漏りなどを放置しておけば、40年持つはずの構造体が20年しか持たないと言うこともあり得ます。
 
 結論として、適切なメインテナンスを施してゆけば、家自体は50年以上は持つと言えます。50年というと30~40歳で家を建てられた方が、おおむね一生その家で過ごせる年数です。私の場合も、せめてその位は持たせるように設計しています。条件が許せば、材料のグレードアップを図ることなどで、100年以上持つ住宅を目指しています。
 
 
 

長寿命の家の具体的工夫

 古い民家などは何百年も平気で保っていますが、それはいい材料が使われているだけでなく、家全体がすけすけで断熱も設備機器もない素の状態だからです。現代の住宅は高断熱・高気密で内外温度差が高く、結露しやすい状況がおのずと生まれます。そういう状況の下で壁体内の結露を防止しつつ、耐震性も上げ、設備の配管なども上手に納めなくてはなりませんが、コストアップになるのでいたずらに仕様を上げたり手間のかかる方法は使えません。
 
 したがって、コストパーフォーマンスを考えた最も現実的な判断は、一般的に使われる使用頻度の高い材料、構法を選択し、それほどお金をかけなくとも耐久性の向上に結びつくことはできるだけやっておくという考え方になります。中でも、優先順位として是非お金をかけたい部分は構造体です。仕上の交換や配管のメインテナンスはその気になればやれますが、構造体はやり直しはききません。仕上や設備に関しては、できるだけ点検や交換ができるようにしておくことが望ましいといえます。
 

 私の場合、以下の様な点に留意し、標準仕様としています。

・合板の使用を減らし、使う場合は国産材の信頼できるものを使う。

・釘や金物についても、耐久性の高いものを使用

・壁体内の結露防止のために、特殊な場合以外は通気工法を採用

・設備についても極力メインテナンスができるように配慮

 
 条件が許せば、合板を使用せず、無垢材などの耐久性のある材料だけを使用する場合もあります。
 
 

住宅の性能基準

 建築を作る場合の、仕様基準となるのが、各団体から出されている仕様書と呼ばれるものです。建物の仕様を決定する最低の基準はもちろん法律や条例でこれは必ず守らなくてはなりませんが、法律や条例はあくまで最低限のものですから、法律や条令を補完するより高い性能規定が必要となるのです。よく使うものとして、「日本建築家協会共通仕様書(建築、設備)」、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の融資工事の際に使う「住宅金融支援機構共通仕様書」、住宅性能表示制度を使う際に使用する仕様書」などがあります。

 

 私の事務所の場合、金融公庫融資工事や性能表示住宅ではそれぞれの仕様に従うことはもちろんですが、そうでない場合もこれら3つの仕様書に準拠しています。設備については学会などで出しているさらに細かく規定された仕様があり、個別に図面に表記しています。

 

 もちろん、仕様書以上に上げられるスペックは上げますし、御要望があれば、さらに上位の仕様で設計します。

 
 

保証と耐用年数

 家にも機械製品同様、保証期間があります。保証期間というのは、通常の使用の状態で期間内に発生する故障や瑕疵について無償修理を行う期間であり、耐用年数とは別物です。構造体と雨漏りに対しては住宅瑕疵担保履行法により10年保証が義務づけられています。その他の部分については通常は2年で(一部のものは1年)仕様書などで規定されています。個別に保証書がつく機械設備はそれぞれの保証期間となりますが、たいていは1~2年です。
 
 設計瑕疵(ミス)については、保険制度でカバーすることになります。私の事務所では建築士会が窓口になっている建築士賠償責任保証制度(けんばい)に加入しており、万が一の場合に備えています。
 
 最近の傾向として、特にハウスメーカーなどが保証期間の延長を謳っているところが増えてきています。それ自体は良いことと思いますが、保証期間が長くても必ずしも耐用年数が長いということにはならないことには注意してください。たとえば、構造体が30年くらいしか持たなくても仕上材が20年以上持つ仕様であれば、20年の保証は出せるわけです。
 

 いずれにしても保証期間は最低の義務であって、保証期間を超えてどれだけ長持ちさせるかが重要です。

 
 

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